イハナシの魔女

 steamゲームのイハナシの魔女

 パッケージ版を買った方が良いかもしれん

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 結論から言うと1000000点

 ストーリー良し、設定良し、日常会話良し、雰囲気良し、絵柄良し、キャラ良し、ボイス良し。捨てるところナシ! 全てが全て高水準で纏まったパンチある名作だと思う

 

 物語の舞台は沖縄

 適当な親によって沖縄の離島に放り込まれた主人公が、そこで野性味あふれる異国の少女と出会い、二人で身を寄せ合って生きていく話

 コミカルに描かれているが結構ワイルドかつシリアス。現代社会で中卒家無し職無し保護者無しの青少年がモノの数秒で誕生する。中々にハードな境遇だ

 けれど色んな人を助け、色んな人に助けられ、彼と彼女の物語は進んでいくといった感じ

 沖縄が舞台なこともあって民族・伝統・呪いといったテーマを取り扱っている。ここもちゃんと活きるような趣向を散らしてあるので良い味がする

 ボリュームとしては7時間くらいかな。ゆっくり読んでもそれくらいで終わるため一気に駆け抜けることができるのもグッド。こういう良い物語はやっぱり間に睡眠を挟みたくないので非常に丁度いい重さの話だと思う

 

 ストーリー100割なゲームなので説明はこれくらいに

 値段もお手頃。ぜひ買ってやってみてほしいと思った

 

 

 

 以下感想交じりのネタバレに。

 

 

 

 

 異国褐色メインヒロインのリルゥちゃん

 超絶美少女のアカリちゃん

 自己啓発お姉さんのツムギちゃん

 中二病ヤンキーのジョー

 金髪縦巻ロールのキリコちゃん

 

 マジでどの子も良いキャラしてる。エロ要素どこ……ここ……?

 一昔前のエロゲを思い出すほどには凝ってた。これは僕なりの誉め言葉。なんて言うんだろうな。ちゃんとストーリーに重みがありつつも、キャラクター全てに愛があるというか。マクガフィンとか舞台装置みたいなキャラクターではなく、どのキャラも推すことが出来るっていうの? 良い面悪い面全てまとめて美味しく食べれる良いキャラクターばかりだった

 特にツムギちゃんは良かった。他の作品だとあまり見ない類のヤバさを感じた。途中からはまぁキャラクター設定上仕方のない動きをし始めたようには思うけど、最初の自己啓発ノートのくだりは世のドジっ娘キャラが全員裸足で逃げだすくらいにはヤバかったよ。本当に良いところを突いてきたと思う。ここから入れる保険もあったわ

 アカリちゃんも良いね。筆者の日常会話のセンスが高いおかげで良い出来上がりになってた。ただの賑やかしキャラではなく、ちゃんと明るく面白く可愛いキャラクターであったのは本当に良い。というか立ち絵が良い。ピースの立ち絵とか""分かってる""。私こそが好奇心でしたね

 キリコちゃんはただひたすらに良い子だったな。突然ハゲで登場した時は流石に笑ったしあまりにも面白かった。一番最初に作中で一番重い覚悟キメてたキャラでもある。マジで良い子。キリコルートまだ?

 ジョーは聖人だったな。取り巻きAみたいな感じではあったし味方陣営になるにはやや流れを感じたけど、店のサーフボード全部叩き折られてもクビで許すのはマジ聖人。もう少しボリュームあげてヒカリと仲良くしてほしかったな。もっとスポットライトを当てるべきキャラだったようには思う。まぁ仕方ないね。これボーイミーツガールだから。ちなみに赤色の台詞は伏線あるのかと思ったら序盤で終わってました。酔えよ、俺の黒い愛に……

 

 本当に良かった。特に雰囲気が良かったなぁ

 没入できる世界観を作れるのか、っていう問題をあらゆるシナリオゲーは最初にクリアしなければならないんだけど、そこを第一にイハナシはクリアしていると思う。沖縄を舞台に選んだのが本当に素晴らしい慧眼としか言いようがない。まぁ沖縄が先にあったのか、物語の骨が先にあったのかはさておき、沖縄というものを舞台にするにあたって誰もが期待していた要素を満たしていたように思うし、他に追加された要素も舞台を壊さない範疇の内容だったように思う。総じて空気が良かった

 話の設定も良いね。重々しくも軽くしてるのが良い。触るべきところ、触らないでおくべきところをちゃんと理解して文を書いてる気がする。正直「ここ絶対描写削ったでしょ」って部分は多々あったけれど、破綻もほぼなく伝えたいことを伝えるための尽力が見て取れた

 

 

 

 以下、ちょっとした不満

 総評すると10000000000000000点なのは変わらず。けど、少しだけ。許して

 

 理由付けが若干弱いのかなぁ。もっと話を重くしてほしかった

 序盤は良かった。途中から。主人公のヒカリの軽さと、それに対する周囲の熱が少し食い違って見えた。なんて言うんだろ。主人公のギブに対して、他のギブが大きすぎる。ヒカリあんまり何もしてないよね。いやちゃんとしてるし、ヘタレなところ含めてリルゥはヒカリが好きになったんだよねそれは分かる。でもアカリやジョー、ツムギがそこまでして助ける理由はないと思う。だって沖縄で村の豪族が力を持っている社会でずっと育ってきた子達だよ。ハイ豪族に逆らいます、ってなってあんな数日で助ける? うーん、助けるのか? って思った

 これは多分僕がああいった豪族の人達はもっと強大でねじり曲がっているという思想を抱いてるのもある。もっとヒカリは村八分にされてもおかしくないと思っていたし、もっともっと酷い立ち上がりを見せると思ってた。実際にそれがあったのは警官4人が死んだところだけだし、豪族も良心を持っていたことは作中で示されてるからあんなものなのかもしれないけど。でも欲を言うならばもっとヒカリには序盤に傷を作ってほしかったな。酷い目辛い目にあって骨折とか痣とか血とかさ。そしたら「身を張った凄さ」みたいなものでヒカリを色付けできたと思うんだ。でもまぁ、そんな安い手法に作者は乗らなかったという見方もある。これは僕が幼稚なだけかもしれん。それなりに良い性格をした友達が苦しんでるんだから俺も危険に踏み込んで助けよう、ってのは理屈は通ってるしさ。あーやだねぇ。僕が擦れて捻くれた人間だからこういう見方してるみたいになってきた

 

 あとはツムギかな。

 最初の頭やべーやつキャラから一転して普通に子になっちゃった。バチクソ気に入ってただけに残念。ただツムギはストーリー的にある程度まともにならないといけないキャラだったので仕方ない。仕方ないにしても、まぁもっと抜けててほしいとは思った。お酒飲んでやばくなるキャラはちょっと使い古されすぎてるから好きじゃないんだよな。実は酒飲んでも冷静なキャラでしたとか、そういうオチが欲しかった。あと立ち絵もう少し用意してあげてほしかった。明らかにツムギだけ2~3枚ほど足りてないです。ツムギ推したかったよぉ

 

 

 

 まぁ、良かった

 充足感に満たされてる。気分が良い

 この作品に出会えたことに感謝を。ありがとう製作者様方。次作待ってます